Q71、ミラノールはどこで購入できる?
A、歯科医院で購入することができますが、予防に力を入れていない歯科医院では取り扱っていないこともあります。ミラノールと同種のフッ素洗口剤としてオラブリスと言う商品名で販売されている物もあります。その他の家庭でできるフッ素、レノビーゴ、ホームジェルも同様に歯科医院で購入することができます。1歳6ヶ月健診の時にレノビーゴを配布している自治体もあります。
Q72、3歳2ヶ月で過度にフッ素塗布をしたときの影響は?
A、1歳8ヶ月頃から月に一回歯科医院でフッ素塗布をしてもらい、家庭でもホームジェルを10ヶ月で2本半くらい使用したとのことですが、歯科医院でするフッ素より家庭での毎日のフッ素量が問題になるかもしれません。上の前歯(永久歯)が生えて来た場合に部分的に白くなる可能性はあります。これは現在ではどうしようもありません。私はフッ素は毎日適量を家庭で、できているのなら歯科医院で塗る必要はないと考えています。3歳ならレノビーゴを毎日してはどうですか。4〜5回くらいプッシュすれば充分です。詳しくは「家庭で行うフッ素」に掲載しています。この程度の摂取量では全身的な影響はでないでしょう。ご心配なく。永久歯への影響も出るかもしれないというだけです。出たとしてもたいしたことはないはずです。
Q73、歯並びが悪いとどうなる?
A、
1、食べ物のカスがたまりやすく、歯みがきもむずかしいので、むし歯や歯槽膿漏になりやすい環境になる。
2、発音がうまくできないので、会話がしにくい場合がある。
3、よく(うまく)かめない、かみきることができにくかったり、かめる箇所が少なかったりすると食事などに不自由で、その結果、成長期ではあごと口のまわりの筋肉の発育が不十分になりやすい。
4、歯並びと口もとは顔のポイントです。歯並びが悪いと、それがコンプレックスとなって、大きく口を開けて笑ったり、しゃべったりするのにひけめを感じて消極的になりがちです。大きな口で笑えることは大切なことです。
Q74、6歳臼歯が生える位置に白い堅いものがある
A、6歳臼歯が生えようとしている時に何か白い物が歯に付いていることがあります。歯ぐきの中に埋もれている場合もあり周りの歯ぐきが腫れて痛かったり、噛んだら痛いと言うこともありますが、痛みを伴わないこともあります。最初は食べ物のかすが付いていると思いがちですが、これは顎の骨の欠片(かけら)です。6歳臼歯は大きく噛む面の溝も深いのが特徴です。その6歳臼歯が顎の骨の中から生えようとするとき骨の一部が噛む面に取り残され、歯と一緒に萌出してくることがあります。これが腐骨となって歯に付着しているのです。
この様な場合は表面麻酔(塗るだけの麻酔薬)を使い取ってしまいます。取ってしまえば自然と腫れも引いてきます。
下の写真が取り除いた腐骨です。
Q75、1歳4ヶ月の子供の歯石
A、ご存じのように歯石は歯ブラシでは取ることができません。大人でも子どもでも下の前歯の裏側には歯石が付きやすいものです。歯石が付く原因としてはやはり歯ブラシが届いていないことです。小さなお子さんは歯みがきを嫌がるから磨けないと言って歯みがきを短い時間で切り上げたり、磨かなかったりすることがあるようですが、そういうことはありません。小さなお子さんでも歯みがきの習慣がつくと、どんなに泣いていても口だけは開けるようになります。歯みがきの習慣を付けるにはお母さん、お父さんが正確な磨き方を覚えて実践することが早道です。「幼児の歯みがきワンポイント」をご参考に。正確な磨き方の指導を受けるにしても小児歯科の専門医に相談されてみてはどうでしょう。歯石を取る必要があるときでも慣れない一般の歯科医より小さい子どもの扱いに慣れた小児歯科専門医の方が確実に安全に取ることができます。
Q76、キシリトール100%配合のガムであれば歯磨きはしなくてもいい?
A、違います。ガムを噛めばガムが当たっている所の歯垢は取れますが、むし歯になりやすいところ、歯と歯の間とか歯と歯ぐきの境目などの歯垢は取れません。キシリトールでは歯垢はできませんがすでに付いている歯垢を落とす作用はありません。歯みがきは必要です。
Q77、日本小児歯科学会認定小児歯科専門医って何?
A、日本小児歯科学会のHPには下記の様に記されています。
本制度は小児歯科学の専門的知識と技術を有する歯科医師を育成するとともに,小児歯科医療の発展と向上をはかり,小児保健の充実と増進に寄与することを目的とする。前条の目的を達成するため有限責任中間法人日本小児歯科学会(以下「学会」という)は,日本小児歯科学会専門医(以下「専門医」という)を認定するとともに,本制度の実施に必要な事業を行う。
要するに今までの小児歯科認定医の中で、実際に小児歯科の臨床(子ども主体の診療所など)に深く携わっているいる歯科医師です。小児歯科という診療科目は歯科医師なら誰でも表記することができました。ですから一般歯科、小児歯科と診療科目あげていながら、子どもの扱いに慣れていない歯科医師もいます。一般の方には小児歯科が得意な歯科医師、歯科医院がわかりづらく、不評でした。しかし、今までの小児歯科認定医は認定証を待合室に掲示するとか、ホームページに掲載することはできましたが、法律上広く一般の方にアピールする事ができませんでした。日本小児歯科学会が法人になったのを機に平成17年12月より新たに小児歯科認定医の中から小児歯科専門医を認定することによって広く一般の方にアピールする事が法律上できるようになりました。それが日本小児歯科学会認定小児歯科専門医です。これからは電話帳などにも掲載されますが制度が始まったばかりで日本小児歯科学会認定小児歯科専門医はまだ非常に少ないのが現状です。日本小児歯科学会のホームページにも専門医名簿が掲載されています。
Q78、生後3ヶ月で舌が短い、舌小帯を切る必要がある?
A、御質問は「体重増加は順調ですが、おっぱいの飲み残しがあり、おっぱいマッサージにも通っています。先日、助産師さんに「舌が短め」ということをアドバイスの中で聞き、舌小帯を切ってもらうとかなり改善するとのことでした。心配になり、小児歯科、小児科 に行きました。確かに舌は短めだけど手術するほどではないと・・・・。ですが、我が子は授乳の際にとにかく空気を吸い、げっぷで苦しんでます。あおむけには寝てくれず、常にのどのあたりをごろごろとして、げっぷとともにあがってくるお乳で苦しんでいる感じです。最近は以前ほどの体重増加はありません。楽にさせてやりたいなと思い、ネットでいろいろ検索しました。舌小帯短縮症の手術については賛否が分かれるようですが、害のない手術ならしてあげた方がいいのか悩みます。」と言うものです。
私も乳児の舌小帯を切ることは積極的には行いません。舌小帯が問題になるのは太くて短く舌の動きが極端に悪い場合で、手術する時期も小学校1〜2年生の時期です。舌が短めくらいなら行いません。少々短めでも舌を使うことにより延びて来たりします。積極的にトレーニングで治す(延ばす)方法もありますが、乳児ではできません。どんな小さな手術でもリスクは付き物です。害のない手術なら、しなくともよいのではないかと私は思います。
Q79、5歳の子供ですが、前歯2本がかさなっています。矯正を勧められました。
A、御質問は「あごが小さいため、これからもっと大きな永久歯がはえてくるのに、スペースがないと近くの病院でいわれ、あごをひろげる矯正をすすめられました。矯正は今やっておいた方がいいのでしょうか、それとも、永久歯がはえそろってからの矯正でも遅くはないのでしょうか。」と言うものです。
年齢からすると下の前歯ですよね。下の顎の幅の成長は下の前歯4本が生えようとするときに成長(広がる)と言われています。確かにこの時期に成長させる装置もありますが、そのような装置を使わずとも自然と成長する可能性もあります。
私はこの時期には矯正治療は勧めていません。子どもの負担を考えてと、何もせずとも少々の前歯のガタガタは自然と改善される場合があるためです。もちろん積極的に勧める矯正医もいます。永久歯が生えそろってから本格矯正をすることも、もちろん可能です。
まずは信頼できる小児歯科専門医、矯正専門医にかかってみてはどうでしょうか。
Q80、マウスガードってなに?
A、口の中に装着することで、顎(あご)や顔面領域のケガを防ぐ目的のものです。マウスガードにはスポーツ用品店などで販売されている簡易型のものもありますが、□をあけるとすぐに落ちてしまったり、正しい咬み合わせができず、顎関節を痛めるなど、かえって危険なことがあります。歯科医院で型をとって精密に作るものが安全です。詳しくは「ケガをする前に、マウスガードの話」をご参考に。
Q81、生後5ヶ月で歯のような物が生えている(上皮真珠)
A、子供の歯(乳歯)はだいたい下の前歯から生えてきます。それ以外の場所から白い物が出現する場合があります。生まれた時にすでに出現している場合もあります。米粒の半分の大きさからそれらが重なった様な物までありますが、数週間のうちに自然となくなります。上顎に出現する場合が多いようです。特別な処置は必要ありません。ご安心ください。
Q82、2歳半でシーラントは必要?
A、御質問は「本日2歳半のフッ素を塗りに歯医者に行ってきたのですが、その際に虫歯予防にとシーラント治療を勧められました。虫歯予防になるなら受けた方がいいのかな?と思っていたのですが色々調べたところ、永久歯の生え始めた6歳頃の治療が一般的のようですね。乳歯でのシーラントは必要なのでしょうか?弊害(適切な表現ではないかも知れませんが・・・)はないのでしょうか?」というものです。確かに私は乳歯にはほとんどシーラントはしません。シーラントをする理由として複雑な奥歯の溝からむし歯になるのを防ぐ目的ですが、乳歯に奥歯は溝が浅く、単純な形態が多いですので、ブラッシングと規則正しい食生活、それとフッ素の応用で充分と思っています。しかし、乳歯でもとても溝が深く、複雑な場合もあり、その様なときにはシーラントを行います。
溝が浅い歯にシーラントをするとすぐに脱落し、逆にむし歯を作る要因になることもあります。かかっている歯科医院が小児歯科専門医ならきちんと判断してくれると思います。
残念ながら一般の歯科医師で必要もないのに全ての奥歯にシーラントをしている方もいるのも事実です。
Q83、長崎小児歯科臨床医会ってどういう組織?
A、現在は長崎県下の21名の開業医と大学会員として長崎大学歯学部小児顎口腔発達管理学分野(旧 歯学部小児歯科)藤原卓教授以下在局医局員を迎えて活動しています。開業医の内訳としては日本小児歯科学会認定指導医2名、専門医10名、認定医3名(2011年度現在)その他、小児歯科に多大な興味がある3名の歯科医師です。毎月例会を開き、小児歯科の研鑽を積んでいる研究会です。毎年秋にはスタッフや研究会以外の歯科関係者も参加して年次集会を開いています。
2012年10月28日(日)に長崎小児歯科臨床医会主催、私が大会長として第30回日本小児歯科学会九州地方会大会および総会を長崎で開きました。
A、日本小児歯科学会からも公式のコメントが出ています。最近、食後すぐに歯をみがくと、あたかも歯が溶けてしまうというような報道が新聞やテレビで伝えられたため、昼食後の歯みがきを推奨してきた保育所・幼稚園や学校の現場がやや混乱しているようです。実際の人の口の中では食べた後、口の中が酸性になったとしても、唾液には酸を中和する働きがあり、酸性飲料の頻繁な摂取がないかぎり、すぐには歯が溶けないように防御機能が働いています。つまり日本の一般的な食事では食後すぐの歯みがきにより歯が溶けることはまずありえませんからご安心下さい。反対に食後歯みがきをしないままでいると、すぐに歯垢(プラーク)中の細菌によって糖分が分解され、酸が産生されて歯が溶け始めます。結論としては、食後は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて歯が溶けることを防ぐことの方がむし歯予防には重要です。学会としても今後より詳細な情報を提供していく予定ですが、現在のところ、園・学校における昼食後の歯みがきについては、現状通りの方法で問題ありません。