A、1本の歯だけでなく数本や全部の歯が徐々に茶色に変色した場合は、歯の表面に茶渋や食物色素が付いたことが考えられます。乳歯や生えたばかりの永久歯は表面が粗く茶渋がつきやすいのです。茶渋は歯についても害ではありませんので、そのままにしていても問題はありません。しかし気になる場合には家庭でも簡単に着色を取る方法があります。歯ブラシに水を付けずに練り歯磨き剤を付け細かく横磨きをすると2〜3日で取ることができます。ただし使用する練り歯磨き剤は研磨材の入っている普通のタイプのものを使用してください。液体の歯磨き剤の中には研磨材が入っていませんので着色を落とす効果はあまりありません。市販されている練り歯磨き剤の中でも研磨剤の多い、少ないはあるようです。しかし小さなお子さんは練り歯磨きの味をいやがったりしますので無理にはしない方がよいと思います。もちろん歯科医院でも着色を落とすことができます。
Q32、熱が続いた後に歯茎が腫れて出血し、口臭がするときは?
A、子供の場合、風邪をひいて熱が続いた場合歯肉炎(歯茎が腫れている)や孤立アフタ(口内炎)がたくさんできたりします。小児には、ヘルペス性歯肉口内炎と言う病気があります。この病気には、早期に抗ヘルペスウイルス剤を内服させると効果がありますので小児科を受診して下さい。しかし、出血するからといって歯を磨かないでいますと、ますます程度がひどくなります。歯茎が腫れると汚れが歯と腫れた歯茎の間に溜まりやすくなり、ますます歯肉炎を悪化させますし、口臭もしてきます。出血しても綺麗に磨いてあげる方が早く治癒します。このとき決してゴシゴシ磨かないことです。日頃からもそうですが、毛先磨きが前提です。強い力はいりません。孤立アフタができて歯を磨くときに痛がるときはアフタの上に指を重ね歯ブラシが当たらないようにして磨いてください。正常な歯磨きで起こる出血は痛くありません。大丈夫です。あまりにも出血する場合は歯磨きの後にアクリノールやうがい用のイソジンなどで消毒してください。
熱がないときでも歯をみがくと血が出る場合もあります。歯ぐきがはれている証拠です。歯みがきの仕方が悪いと歯ぐきも赤くはれてしまいます。この場合も毎日2〜4回、正確に歯みがきをすることによって歯ぐきは引き締まり、出血しなくなります。
A、人間の歯には乳歯と永久歯がありますが、これらに属さない歯があります。これを過剰歯といい、まったく余分な歯です。過剰歯は上の前歯の間に形成されることが多く、自然と生えてくる場合もありますが、あごの骨の中に一生埋まったまま生えてこないと言う場合もあります。過剰歯があるために色々な弊害が起こることもありますが、たとえ過剰歯が骨の中にあっても永久歯から離れた場所に埋もれている場合はなんら問題はありません。永久歯が生える前に過剰歯が生える場合もあり、この場合は生えてきた過剰歯を抜いてしまえば、なんら歯並びに影響がないこともあります。影響が出てしまった場合は矯正治療となります。実際の矯正治療をご参考に。
A、2本以上の歯が互いにくっついて1本に見えるものを癒合歯と言います。重なり具合が多い場合には普通よりちょっと大きい歯に見える場合もあります。通常使用するのに何ら問題はありませんが、乳歯が癒合歯だった場合には歯の生え替わりがうまくいかないことが多々あります。レントゲンで永久歯の萌出状況を把握しながら適切な時期に抜いてあげる必要があります。また、直下の永久歯の数が足りないこと(先天欠如)の場合もあります。どちらにしろ定期的に歯医者さんで診てもらった方がよいでしょう。
A、歯の数は乳歯では20本、永久歯では親不知の4本を除いて28本です。それらの歯が元々(先天的に)ない場合を先天性欠如歯と言います。乳歯の先天性欠如歯の場合は大きな支障はありません。乳歯が先天欠如歯だからと言って永久歯も先天欠如歯だとは限りません。定期的に検診を受けながら見守りましょう。永久歯が先天性欠如歯の場合には話が違い、歯並びやかみ合わせに問題が生じてきます。永久歯の先天欠如歯の場合には下記のような対応の仕方があります。
乳歯を大切に使う方法:今ある乳歯を大人になっても大切に使う方法です。大切に使うと乳歯でも30歳くらいまでは使える場合もあります。
入れ歯を入れる方法:先天欠如歯の上の乳歯が駄目になった時に取り外し式の入れ歯を入れる方法です。これは子供でも使うことができますし、永久歯の入れ歯は保険診療の適応となります。
ブリッジを入れる方法:固定式の歯を入れる方法ですが、両隣の永久歯を削る必要があります。発育期にはできませんので高校生以上でないとできません。保険診療の適応となります。
インプラントを行う方法:最近確立された比較的新しい治療法です。顎の骨の中に人工の歯の根を埋め込んで、その上に歯をかぶせる方法です。もちろん発育期にはできませんし、どこの歯科医院でも受けられるという手術でもありません。自由診療となり、保険は使用できません。
矯正治療を行う方法:矯正治療を行い、歯のない場所に奥から自分の歯をずらして隙間を詰め、上下がっちりと自分自身の歯で噛ませてあげようとする方法です。期間と費用はかかりますが長い目で見ると最も良い方法だと思われます。矯正専門の歯科医院でないと治療は受けられません。当医院ではこの方法をお勧めします。
A、歯の構造は表面がエナメル質、その下に象牙質があり、部分的または全てのエナメル質の形成が不十分なものをこう呼びます。歯は顎の骨の中で形作られますが、その作られている最中に何らかの影響でエナメル質がうまく形成されなかった物です。全身的なものと局所的なものがあり、軽い場合は着色があるだけです。中等度になるとむし歯の様に歯の表面に穴が空いており、高度なものはエナメル質が広範囲になく、その下の象牙質が露出しているものも有ります。中等度、高度なものの場合にはむし歯の治療と同じ処置を行います。全身的な原因で起こる場合は多数歯にわたり症状がでます。局所的な原因には乳歯のむし歯がひどかった場合や外傷などがあり、永久歯に起こることがほとんどです。右の写真は数本の永久歯にわたりに起こっていますので全身的な原因が疑われます。軽度なエナメル質形成不全です。
A、8〜10歳から生え始める小臼歯には時として噛む面に棘の様な突起が有る場合があります。これを中心結節と言い、この中にも細い神経が通っていることがあります。大きさも太さにも色々あり、写真の様にすぐにも折れそうな物もあります。これが折れてしまった場合に、歯の中の神経(歯髄)が露出してしまい強い痛みを起こすことがあります。折れそうな場合の予防法としては中心結節の周りをプラスティックで固め、補強を行います。
A、離乳食と歯の生え具合には密接な関係があります。おっぱいを飲むという行為は人間の持って生まれた本能ですが、噛むこと、咀嚼することは練習をして習得する物です。育児書には暦齢(月数)で離乳食の進め方が指導してありますが、歯の生え方には個人差があり、ちょっと問題がある場合があります。それと初めてのお子さんの場合は人のお子さんと比べてしまい、どうしても早め、早めに離乳食を進めがちです。あまりにも早く進めるすぎると充分に噛まずに飲み込んでしまうような癖がついてしまいます。また、何時までも口の中に食べ物がありクチャクチャと噛んでいる場合もあります。これらのお子さんは咀嚼を充分に習得していないお子さんで早く離乳食を進めすぎた場合に起こりがちです。ご飯粒などは弾力があり臼歯(奥歯)が上下生えそろわないとつぶすのは困難です。だいたい1歳6ヶ月くらいで臼歯が生え始めますのでそれまではご飯は軟飯にしましょう。
A、確かに子供の歯は永久歯と比べると柔らかいですが歯ブラシのしすぎで悪くなることはありません。普通の食事を取ることによってすりへって短くなることはあります。すり減ることは正常なことです。なんら問題はありません。右の写真は5歳のお子さんです。乳前歯がすり減って短くなっています。しかし磨き方が悪いと歯茎の方を痛めてしまう場合があります。ゴシゴシと強い力で横磨きをすると歯茎が下がって歯が長く見えることがあります。これは問題です。幼児の歯みがきワンポイントを参考にされてください。
A、最近では砂糖以外の糖類を使ったむし歯になりにくいお菓子が発売されており普及もしているようですが国民生活センターのテストでは実際には砂糖も含まれているためむし歯の原因となりうる製品もあるそうです。これは日本栄養食品協会がこれらのむし歯になりにくい糖を70%以上使用した場合に表示を認めているためだそうです。糖尿病患者向けの輸液医療品原料として以前より日本でも使用が認められていた、天然素材甘味料「キシリトール」が厚生省より新たに食品添加物として指定されました。キシリトール自体は、むし歯になりにくいだけではなく、一歩進んでむし歯抑制効果があると言われていますが、それもキシリトールをとり続けることで約50%歯垢(歯の表面に付くぬるぬるした白い汚れ)ができるのを押さえるというものです。フッ素との併用により、むし歯予防効果を増大させるとも言われています。お菓子は糖だけで作られているわけではなく、その他の材料も色々使われており、スナック菓子やご飯に含まれる炭水化物も唾液の作用で糖に分解され、むし歯ができる要素の一つになります。どのような場合でも1日数回の歯みがきは必要ですし、だらだら食べないことが肝要です。