Q51、乳歯の根に膿が溜まった
A、むし歯の程度がひどくなると右の写真の様に歯ぐきに半球形の膨らみができる場合があります。これは歯肉膿瘍と言われる物で、細菌が歯の中の神経だけではなく歯の根の先からあごの骨(歯槽骨)の中まで広がり、骨を溶かし膿が溜まっている状態です。この様なときには歯の根の治療や歯ぐきを切開して膿を出す必要があります。程度がひどい場合に抜歯の適応となります。乳歯にできた歯肉膿瘍は痛そうに見えますが実際はほとんどの場合痛みを伴いません。いつの間にかできていることがありますので歯みがきの時に注意してあげて下さいね。むし歯がひどい場合だけではなくぶつけた場合も起こることがありますし、歯と歯ぐきの境目から細菌が入って歯肉膿瘍を形成することもあります。
Q52、生後8ヶ月で上の歯が逆に生えてきた
A、赤ちゃんの場合はオッパイを吸うために窒息しないように鼻が上を向いており、また上顎骨の成長が悪く(これが正常なんですけど)下顎がしゃくれているような感じになっています。それと奥歯が生えていませんので噛み合わせも安定していません。今のままで気にすることはないと思います。奥歯が生えてきてかみ合った状態で噛み合わせが逆な場合(反対咬合)は問題ですが、それでも前歯が永久歯に生え代わるときに自然と治ることもあります。
Q53、2歳3ヶ月でジェルティンを使ってもいい?
A、主成分は私のHPに載せているホームジェルと同じフッ化第一スズです。私の所では4歳以上のお子さんに勧めています。フッ素の過剰摂取が問題で低年齢児では常に飲み込むことによって過剰摂取が起こりやすくなります。フッ素の過剰摂取が起こると顎の中で形成されている永久歯の表面が通常より白くなったりより多く採りすぎると、まだら(斑状歯と言います。)になったりします。あくまで形成期に過剰摂取した場合でだいたい4歳で前歯の永久歯の形成が終わりますので私はその年齢以降に勧めています。もちろん6歳以上がより安全ですが、日本では水道水のフッ素化は行っておりませんので4歳でも充分安全だと思います。
低年齢児にはレノビーゴの方が良いと思います。
Q54、2歳4ヶ月で前歯をぶつけ、めり込んだ
A、本来、事故があった直後に正常な位置にひっぱりだし、固定します。時間が立っている場合は状況が許すのなら、麻酔を使い無理してでも正常な位置に引っぱり出し(脱臼させ)固定します。しかし、この様なことをせずとも、自然と徐々に歯が出てくることもあります。それと残念ながら年齢が2歳4ヶ月ですので永久歯への影響も避けられないのでないかと思います。乳歯の根の先で顎の骨の中で形成されている最中の永久歯の芽を傷つけている可能性が高いと思われます。これは永久歯が生えてこないとわかりません。だいたい上の前歯は7歳前後で生えてきます。Q36、Q46もご参考に。
A、問題ありません、大丈夫ですよ。口の周りは感覚がとても敏感なところです。赤ちゃんは何でも口に持っていってどういうものか確認しようとします。正常な行動です。ご心配なく。そのうち指シャブリを始めるかもしれませんね。それも正常に発達している証拠です。
A、止めましょう。危険です。電動歯ブラシはもともと手の不自由な方の為に開発されました。それを普通の歯ブラシで上手に磨くことができない大人が使い始め、普及しているものです。忙しい大人が自分の為に使うことには反対はしません。しかし子供が使うのには反対します。せっかく歯みがきという手先のトレーニングを妨げるためです。それに電動歯ブラシは毛先の当て方も難しく歯ぐきを痛めてしまうこともあります。自分で使用するときには電動歯ブラシを強くあてすぎると痛みを感じ、自然と力のいれ具合を調整しています。しかし、いくら血を分けた自分の子供でも電動歯ブラシの毛先の圧力はなかなかわかるものではありません。結局は歯ぐきを痛めてしまいます。「Q20、歯ブラシで歯ぐきを傷つけた」をご参考に。このコーナーに掲載されている写真は歯ぐきに優しいといわれている超音波歯ブラシを使っていて起こった症例です。
Q60、1歳7ヶ月で嫌がってまともに磨けない
A、習慣づける一番の早道はお父さん、お母さんが正確な歯みがきの仕方を習得し、どんなに泣こうが叫ぼうが寝ていようが毎回きちんと磨くことです。正確な歯みがきを覚えるには小児歯科専門医に行って指導してもらうのが早道でしょう。それと歯みがきだけではむし歯は防げません。フッ素を上手に使いましょう。詳しくは「幼児の歯みがきワンポイント」を参考にして下さい。