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歯みがきを嫌がる子、どうしたらいい?歯みがきの習慣は1歳半でつきます。 習慣をつけるためには…@保護者が正確なみがき方を覚えるA1日3〜5回、食べたらすぐにみがくB例外を作らない @ 小児歯科で歯みがきの仕方を習うのが早道です。自己流でみがくときれいにみがけないばかりでなく、お子さんが痛がり何時までたっても習慣がつきません。また、親子で向かいあってみがくと、奥歯までしっかりみがけません。必ず寝かせてみがきましょう。歯みがき粉は付けずにみがきます。歯みがき粉を付けるとその刺激により唾液が多く出て、苦しくなり嫌がる上、泡が立ち、みがいている場所が見えにくくなります。歯の汚れ(歯垢)は歯みがき粉を付けずとも歯ブラシの毛先がきちんと当たれば落とせます。 A 食後、時間がたつとお子さんは遊びだします。遊びを中断されることを嫌がりますので食べたらすぐにみがいてください。以前、食後は口内が酸性になり、30分以内に歯をみがくと歯を傷つける恐れがあるという報道がありましたが、唾液には酸を中和する働きがあり、コーラなど炭酸飲料の頻繁な摂取がないかぎり、すぐには 歯が溶けないように防御機能が働いています。食後すぐの歯みがきにより歯が削れることはありえませんからご安心ください。 B 例外とは今朝は忙しい、お出かけした、歯みがきの途中で泣いたから止める、寝てしまったなど、理由をつけて歯みがきをしないこと。歯みがきの回数が多いほど早く習慣がつき、どんなにご機嫌が悪くともみがく体勢になれば口を開ける様になります。お子さんだけではなく保護者の方も習慣づけるためにも必ずみがきましょう。歯みがきは気持ちのいいものです。
歯みがきだけで大丈夫? 毎日歯みがきしているのに、むし歯ができると思ったことはありませんか。どんなに時間をかけても全ての汚れを落とすことはできません。汚れを落としにくいところ、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝にむし歯を作ってしまいます。そこでフッ素を利用することにより歯自体を酸に対して強くすることで、むし歯予防の効果を上げることができます。「フッ素」は何も特別なお薬ではなく、自然界にもいたるところにある、ごくありふれた物です。毎日の食事を通して私たちのカラダに摂取されている必須栄養素のひとつでもあり、歯質を強化する効力が最も高いことから、世界各国でむし歯予防に利用されています。乳歯や生えたばかりの永久歯に非常に効果的です。歯を強くするフッ素の利用法は、色々ありますが、今回は3つを紹介します。 @歯科医院など医療機関で行うフッ素(3〜4ヵ月ごとに塗布) A小学校、幼稚園など集団で行うフッ素洗口(週1回または週5回フッ素溶液でうがいをする)B家庭でできるフッ素(年齢によって分けられます) ※当院でお勧めしている毎日法をご説明します。1〜3歳 スプレータイプ (商品名:レノビーゴ) 歯ブラシでさっと塗るか直接歯に吹きかけます ジェルタイプ (フッ素濃度500ppm以下) 歯ブラシで塗りこみます4歳以上 ジェルタイプ (フッ素濃度1,000ppm未満) 歯ブラシで塗りこみます 5歳以上 液体タイプ (商品名:ミラノール、オラブリス) 30秒ブクブクをして吐き出します ※全て夜の歯磨きの後に使用し、週5日以上(できれば毎日)しないと十分な効果が期待できません。
こどものおやつを考えようT こどものおやつは甘いものになりがちです。お菓子を食べることがおやつと思っていませんか。新生児のころを思い出してください。1日に7〜8回も授乳していたと思います。これは1回に摂取で きる量が少ないことと成長期にあるため栄養摂取を頻繁にする必要があるからです。それが卒乳したからといって大人と同じ1日3回の食事では足りません。足りない栄養をおぎなうもの が「おやつ」です。 保育園では1〜3歳児クラスでは、1日5回食という考えから午前と午後の2回のおやつ、4、5歳児クラスでは1日4回食でおやつも午後1回だけとなります。あくまで栄養補給ですのでおやつだからといってお菓子は出てきません。もともと3度の食事をおぎなうものなのに、甘いものの食べすぎは食事時の食欲を減退させてしまいます。そのうえ糖分の消化には、多くビタミンとカルシウムが必要とされます。糖分のとりすぎで栄養のバランスがくずれてしまうわけです。保護者の方が間食のバランスをよく考えてあげてください。 あめ類、チョコレート類は3歳になるまでは1個たりとも食べさせないようにしましょう。いったん味を覚えると、もう欲しがります。あめ、チョコレートを食べたことがないお子さんは形を見ただ けでは欲しがりません。1〜2歳のころは味覚を発達させる為にとっても重要な時期です。この時期に色々な味(具体的には、野菜などの微妙な味)を覚えてもらわなければなりません。甘みが強いもの、味の濃いものなどを食べていると味覚は発達しません。この時期がとても大切です。3歳になると社交性が出てきます。甘いものをあまりにも制限しすぎると隠れて食べるようになりす。それではむし歯を作る原因になりますので、親の目の前で、時間を決めてあげてください。もちろん、その後に入念な歯みがきが必要です。
こどものおやつを考えようU 3歳児以上は『〜を食べたらダメ』という禁止ではなく、飲食の回数を少なくすることを基本とします。たとえばジュースを飲む場合でも、のどが渇いたときに飲んでいたジュースはおやつと一緒に飲み、それ以外の水分摂取を麦茶に変えるだけでもむし歯になる危険性は軽減されます。食べ物でも同じで、お口の中に入っている時間が長いほどむし歯になる危険性は高くなります。だらだら食いが悪い理由です。 お菓子を食べることがおやつと思っていませんか、こどものおやつは一回の軽食です。 おやつの与え方もちろん食べるときに、砂糖が長く残る食物はむし歯になりやすく例として 飲み物でもPH値5.5以下になると歯が溶けはじめます。例として1.量を与えすぎない2.時間をきめて(ダラダラ食いの防止) 3.栄養のバランスをよくする4.甘いものをとりすぎない5.手作りの味6.噛みごたえのあるものを与える 7.買い食いをさせないようにする
むし歯は治療するより予防
下の写真、どう思われますか?どちらのお子さんも歯科健診では「むし歯0本」と診断されます。
Aの写真のお子さんは全ての歯をがんばって治療しました。同じむし歯0本でもこんなに違います。今の歯科医療では機能の回復はできますが、治療しても元の健康な状態(歯)へ戻すことはできません。お口の中の環境(むし歯ができる環境)を変えなければいくら治療してもまたすぐにむし歯を作ってしまいます。 「カリエスフリー」という言葉をご存知ですか?もちろん、「むし歯の治療が終わりました」という意味ではありません。カリエスフリーというのは、むし歯の経験がまったくない状態をいいます。@の写真のお子さんのように現在も過去もむし歯が1本もなく、治療をした経験がない状態です。むし歯を作って治療するよりも作らないことを目指すようにしましょう。 日本人の20歳でのカリエスフリーはたったの4%しかいません。お子さんをカリエスフリーにするためには専門の歯科医院で歯みがきの仕方、フッ素の利用法、むし歯ができにくい食生活の指導を受けることが早道です。 やはり病気は治療するより、予防するものです。一生いい歯と付き合うためには必要なことです。
幼稚園、学校健診でむし歯がないといわれて安心していませんか?
幼稚園、学校歯科健診ではむし歯の指摘がなかったのに、急にむし歯ができてしまったという経験はありませんか。なぜでしょう。 学校などで行う歯科健診はスクリーニング(ふるいわけ)です。問題があるかないかだけを調べることで、問題の状態、状況まで調べるものではありません。ましてや短時間、悪条件での健診となります。 例をあげましょう。1.目でみるだけの健診ですので小さいむし歯はわかりません。 2.大きなむし歯でも歯をみがいていない場合、むし歯の穴の中に歯垢が入っていて見つけられないこともあります。 3.歯と歯の間のむし歯はレントゲンを撮らないとわかりません。4.奥歯の光が届かないところにむし歯ができている場合、見落とします。 5.学校歯科健診には特別なルールがあり、歯垢、歯ぐきの腫れなどは前歯しか見ません。 などです。やはり、設備も整った歯科医院でひとりひとり詳しく健診する場合とでは精度が違うと思ってください。ですから幼稚園、学校歯科健診でむし歯がないと言われてもかかりつけの歯科医院で定期的にお口の中をみてもらってください。
ケガをしてしまったどうしよう!T
子供はよくころぶものです。特によちよち歩きの時期と小学1年生前後が多いと言われています。1、2歳の頃は歩行が不安定ですので周りの大人の気づかいが必要です。おもちゃ、歯ブラシ等を口に入れたまま転倒したり、机の角、階段などでぶつける事故があとをたちません。小学1年生前後になると行動が活発になり遊具や高いところからの転落、友だちどうしのふざけあいによる事故などが増えてきます。中学生前後になると、事故の頻度は減りますが、自転車などによる交通事故、スポーツによる事故などが起こってきます。ここではケガの程度の軽い方から順に実際の症例をお見せします。 唇をぶつけた 転倒などによってお口の中(粘膜)を傷つけることがあります。この写真の傷は下の前歯で傷ついた物です。この程度の傷なら何も処置をせずとも自然と治ってきますし痕も残りません。お薬(塗り薬)を処方する場合もあります。 上唇小帯が切れた 上唇小帯の付着部位(歯茎についている位置)が悪い場合には転倒などで簡単に切れることがあります。その場合、かなり出血しますが切れた状態で治ってしまいます。以前はよく付着部位が悪いときには手術をして人為的に切っていたくらいですからそのままで結構です。出血がなかなか止まらないとか、腫れてきた場合などは歯医者さんへ行ってください。
ケガをしてしまったどうしよう!U
歯ぐきがめくれた ぶつけ方によって付着歯肉(骨の上にある歯ぐきで、堅い部分)がめくれるように傷つくことがあります。下の写真は矢印の間で裂けてしまい、付着歯肉がめくれている状況です。歯は打っておらず、動揺などはありませんでした。この様な場合は剥がれた歯ぐきを元の位置に戻し、縫合する必要があります。放っておくと付着歯肉が下がった状態で治癒してしまい、傷あとを残す場合があります。 歯の色が変わってきた 歯をぶつけて打った場合、歯の中の神経が死んでしまう場合があります。だいたい1週間前後で歯の色が赤茶色になったり、その時は大丈夫でも2〜3か月経過した後に、歯が黒ずんでくること があります。この場合は歯に穴を開けて中の死んでしまった神経を取ってあげる必要があります。そうしないと歯の色はますます変色してきます。歯の中の神経は死んでいますので麻酔などを使う必要はありませんが2〜3回程、通院する必要があります。変色がなくとも歯の根が徐々に溶け出すことや、1〜2年程ですっかり根がなくなることがあります。これはレントゲンで確認するしか方法はありません。一旦根が溶け出した場合は止めようがないため、そのまま歯を大切に使うことです。上の前歯はだいたい7歳前後で生え代わりが始まりますので、それより以前に動き出した場合は要注意です。
ケガをしてしまったどうしよう!V
歯が欠けた 永久歯でも乳歯でも歯の先端がほんの少しだけ欠けてしまった場合には尖った部位を丸める処置をします。写真の様に欠け方がやや大きく目立つ場合には欠けた部位の形を整え、プラスティックで修復したり、カケラを元の位置に戻し修復することができますので、折れた歯のカケラも出来るだけ持ってくるようにして下さい。もちろん、歯の神経が露出している場合には神経を抜くなどの処置が必要となります。しかし、将来的には折れた歯を全て覆うような補綴処置(歯を細く削るか土台を作って、人工の歯を被せてしまうような処置)になるでしょう。 歯がグラグラする 歯をぶつけてしまってグラグラする場合があります。乳歯の場合には歯の生え代わりの為に、歯の根が溶けてなくなっていることがあり、この場合は心配はいりません。乳歯が抜けてきれいな永久歯が生えてきます。一方、生え代わりの準備ができていない根の長い乳歯や永久歯がグラグラしている場合(歯の高さや、位置がずれている場合)は元の正しい位置に歯を戻して2〜4週間ほど固定する必要があります。 固定する方法は色々とありますが、当院では確実に正しい位置に固定するため、写真のような矯正装置を使用しています。小さいお子さんの場合、動きますのでお子さんの扱いに慣れた小児歯科を受診することをお勧めします。
ケガをしてしまったどうしよう!W
歯がぬけてしまった 前回は歯がグラグラする場合の処置を掲載しましたが、もっとひどくぶつけてしまった時には前歯は折れずに根っこごと抜けてしまうことがあります。あきらめるのはまだ早い!適切な処置をするとまた以前と同様、使えるようになります。 1.急いで抜けた歯を探しましょう。 2.流水下で10秒以内でやさしく汚れを洗い流します。 3.休日や夜間などですぐに歯医者さんにいけない場合は牛乳の中に入れ冷蔵庫で保管します。 4.抜けた歯を元に戻すか、ほっぺの内側にいれるなどして急いで歯医者さんへ。短時間(30分以内)ならそのままでも大丈夫。 5.歯の根の処置をして歯を元の位置へ戻し固定します。約3〜4週間ほどでつきます。このお子さんも抜けた永久歯を元に戻すことができました。 歯に縦に亀裂がはいったら 表面だけ(エナメル質)に亀裂が入った場合はそのままでも大丈夫でしょう。しかし、写真のように縦に亀裂が入り、歯茎の中まで亀裂が波及している場合では残念ながら歯を残すことはできません。抜歯の適応になります。その後の処置としては小児義歯(子供用の入れ歯)を入れる方法もありますが、乳前歯を1 本だけ失った場合は歯並びに影響を及ぼすことが少ないため、抜けたままにすることも少なくありません。
ケガをしてしまったどうしよう!X
乳歯がめり込んでしまった 1 歳0 ヶ月のお子さんです。椅子でぶつけ矢印の歯(上の写真)が1/2 程度めり込んでしまいました。正しい位置に戻し固定することもありますが、今回は歯の根の状況をレントゲンで確認し消毒のみを行い観察しました。細菌感染もなく3 ヵ月後には正しい位置に戻り(再萌出し)、歯ぐきも問題なく、きれいになりました。 下の写真は、同じお子さんの8歳時のお口の中の写真です。矢印の部分は窪んでおり、あたかもむし歯のように色も付いています。めり込んだ乳歯の根が永久歯の芽(歯胚)を傷つけエナメル質減形成を起こしてしまったからだと思われます。後々、むし歯のときと同様な処置、治療が必要となります。このようにぶつけた程度、方向、年齢によっては乳歯の下で形成されつつある永久歯へ障害が及びます。その障害の程度もさまざまで、乳歯をぶつけても程度が軽い場合には永久歯への影響はほとんどありませんが、表面に白い点や、茶色の点が出現することもあります。白い点や、茶色の点もエナメル質減形成です。窪み(実質欠損)などがない場合には特別、処置などはしません。白い点の場合はお口の中の環境に問題がなく(むし歯を作らない環境)、フッ素などを効果的に使うことにより薄くなったり、消えたりします。
歯の生えかわりについてT
乳歯は時期になれば自然と抜け、永久歯がすぐに生えてくると思っていませんか。しかし、何らかの理由でうまく抜けなかった場合には抜いてあげる必要があります。あごの骨の中で育っている永久歯の生えようとする方向が悪い場合には、乳歯の根が長く残ることが多く自然には抜けません。また乳歯の根があごの骨に張り付いている場合もあります。そういう場合も時期を見て乳歯を抜いてあげる必要があります。そのままにしておくと永久歯の歯並びが悪くなったり、かみ合わせが悪くなります。
下の前歯、永久歯が生えてくる方向が悪く、乳歯の裏の方に生えようとしています。歯の生え代わりは下の前歯から始まることがほとんどです。早いお子さんで5歳くらいから始まります。
レントゲン写真でも乳歯の根が永久歯と重なっているのがわかります。永久歯の萌出方向が悪いために乳歯の根が充分に溶けていません。永久歯が乳歯の真下から生えようとしている場合では、この時期では乳歯の根は溶けてしまっており、グラグラしているはずです。このような場合、永久歯を正常な位置に戻すため、乳歯を抜く必要があります。永久歯の萌出のじゃまをしていた乳歯を抜いたことによって永久歯がだんだんと前(正常な位置)に動きます。下の前歯ではよくこの様なことが起こりがちです。乳歯を適切な時期に抜歯する事により歯並びが悪くなることを防ぐことができます。
歯の生えかわりについてU
7歳のお子さんです。下の前歯は永久歯に生え代わり、上の前歯の乳歯も動いています。レントゲンで確認しても乳歯の根も順調に吸収しており、問題はありません。しかし3ヶ月後、左下の写真のようにまだ前歯の乳歯は抜けておらず、矢印の乳歯が真ん中に寄ってきました。レントゲンでは永久歯が乳歯を下から突き上げていることが確認できます。そのことが原因で、矢印の乳歯の位置が変わってきたと思われます。この様な状態では早く乳歯を抜いてあげる方が良いでしょう。もちろん、乳歯の根は充分に溶けていますので自分自身かご家族の誰かが抜くこともできます。
上の前歯の生えかわりは7歳前後で始まります。転倒などの事故により早期に乳歯が抜けてしまった場合、表面の口腔粘膜が厚く丈夫になり、永久歯が生えようとしても粘膜を破ってこれないこともあります。通常の時期に乳歯が抜けた場合でも本人が抜けた場所を気にして指で触っていたり、舌で盛んになめていた場合にも同様なことが起こります。右上の写真でも矢印の部分が盛り上がり、指で触ると歯の形がわかるほどになっています。この様な場合には盛り上がった(厚くなった)歯ぐきを部分的に切り取ることにより永久歯の萌出を促します。小児歯科医へご相談ください。
歯の生えかわりについてV
下の前歯がガタガタに生えてきた
乳歯の時にはきれいに並んでいた下の前歯が永久歯に生え代わるに従いガタガタになる場合があります。顎の幅の成長がまだまだ見込めますし、横の歯が生え代わるときに隙間が少し余りますので自然と少々のガタガタなら改善されます。しかし、写真の様に1本だけ内側に入り込んでいる場合は上下の歯の正中(上の歯の真ん中と、下の歯の真ん中)がずれてしまっている場合が多く、咬み合わせがずれてしまいます。時期を診て青い矢印の乳歯を削って隙間を作るとか早めに抜くなど、正中を合わせる必要があります。定期的に専門の小児歯科で診てもらうことをお勧めします。
上の前歯がねじれて生えてきた
乳歯も永久歯も常に正しいところから生えてくるとは限りません。傾いて生えてきたり、ずれて生えてきたりします。しかし生えた後で舌の力や口唇、頬の力で正常な位置へ移動していきます。歯がきれいに並ぶ隙間がないときに並びきれず不正咬合となります。上の前歯はよく、ねじれて歯と歯の間が空いて「ハの字」に生えてきます。ねじれは舌と口唇の力で治ってきますし真ん中が空いているのは隣の永久歯が生えるときに押されて閉じていきます。このようなことがよく起こるものですから、特別に「みにくいアヒルの子の時期」と呼ばれているくらいです。
歯の生えかわりについてW
過剰歯(かじょうし)って何?
人間の歯には乳歯と永久歯がありますが、これらに属さない歯があります。これを過剰歯といい、まったく余分な歯です。過剰歯は上の前歯の間に形成されることが多く、自然と生えてくる場合もありますが、あごの骨の中に一生埋まったまま生えてこない場合もあります。過剰歯があるために色々な弊害が起こることもありますが、永久歯から離れた場所に埋もれている場合はなんら問題はありません。過剰歯は永久歯の生え方に影響を及ぼしそうな場合には、時期をみて抜歯することになります。左のレントゲン写真では矢印の2本の歯が過剰歯で、そのうち1本は顎の骨の中で上下逆さまになっています。上下逆さまになっている過剰歯は自然に生えてくることはありません。過剰歯を適切な時期に抜歯することにより永久歯の歯並びへの影響を最小限にとどめることができます。永久歯が生える前に過剰歯が生える場合もあり、この場合は生えてきた過剰歯を抜いてしまえば、なんら歯並びに影響がないこともあります。
右上の写真では矢印の過剰歯が永久歯の萌出をじゃましています。早急に過剰歯の抜歯が必要ですが、こうなると後に矯正治療が必要となるかもしれません。
歯の生えかわりについてX
癒合歯(ゆごうし)って何? 2本以上の歯が互いにくっついて1本に見えるものを癒合歯と言い、そのうち重なり具合が軽いものを癒着歯(ゆちゃくし)とも言います。重なり具合が多い場合には普通よりちょっと大きい歯に見える場合もあります。通常使用するのに何ら問題はありませんが、乳歯が癒合歯だった場合には歯の生え替わりがうまくいかないことが多々あります。レントゲンで永久歯の萌出状況を把握しながら適切な時期に抜いてあげる必要があります。40%前後の確立で直下の永久歯の数が足りない(先天欠如歯)ことや、永久歯がちゃんとあったとしても2本の永久歯が生える隙間が足りない場合もあり、矯正治療が必要となることもあります。どちらにしろ定期的に歯医者さんで診てもらった方がよいでしょう。左下の写真が乳歯の癒合歯を抜いたものです。歯の根がしっかりと残っています。また、癒合している境目の溝が深い場合には汚れが溜まりやすく、むし歯を作りがちです。予防処置が必要になることもあります。
右上の写真が永久歯の癒合歯です。前歯と犬歯が癒合したもので1本の大きな歯に見えます。基本的には何もせずにそのまま使用します。
歯の生えかわりについてY
生えてきた大人の歯の色が変(エナメル質減形成)
もともと、乳歯と永久歯では歯の色は違い、永久歯は乳歯に比べやや黄色っぽいものです。これはエナメル質の厚さの差によるもので心配は要りません。しかし、写真のように明らかに色が違ったり、部分的に欠けている場合があります。歯の構造は表面がエナメル質、その下に象牙質があり、部分的または全てのエナメル質の形成が不十分なことがありエナメル質減形成と呼びます。歯は顎の骨の中で形作られますが、その作られている最中に何らかの影響でエナメル質がうまく形成されなかった物です。全身的なものと局所的なものがあり、軽い場合は着色があるだけです。中等度になるとむし歯の様に歯の表面に穴が空いており、高度なものはエナメル質が広範囲になく、その下の象牙質が露出しているものも有ります。中等度、高度なものの場合にはむし歯の治療と同じ処置を行います。全身的な原因で起こる場合は多数歯にわたり症状がでます。局所的な原因には乳歯のむし歯がひどかった場合や外傷などがあり、永久歯に起こることがほとんどです。奥歯(6歳臼歯)がエナメル質減形成の場合、左の写真のように上の前歯にも減形成が起こる場合があります。このような場合にはフッ素の使用などの日頃のケアを充分に行ってください。ご心配なら小児歯科医へご相談ください。
歯の生えかわりについてZ
乳歯を早い時期に失ってしまったら
永久歯への生え替わりの時期が来ていないのにむし歯などで、どうしても乳歯を抜かなければならないことがあります。歯が抜けたままにしておくと隣の歯がよってきて正常に噛むことができなくなり将来、永久歯の歯並びが悪くなったり、顎の成長に悪影響がでたりします。そこで保隙装置といわれる装置を入れ、隣の歯がよってこないようにします。左の写真のお子さんは乳歯の奥歯が早い時期に失った為に矢印の大人の歯が変なところから生えてきました。この様な場合には矯正治療が必要となります。
バンドループ(右の写真):奥歯が1本だけ抜けた場合に使うつっかえ棒です。抜けた所から永久歯が生えてきた場合にはすぐにループをはずす必要があります。固定式ですのでどんな子供にも使え違和感が少ないのが特徴です。保険を使用できる場合もありますが、どこの歯科医院でもできるとは限りません。ご心配なら小児歯科医へご相談ください。
小児義歯:たくさんの乳歯を失ってしまい噛むのにも困る場合に使用します。形は大人の入れ歯と似ており、ほとんど歯がない場合にも利用でき、見かけも良くなります。しかし4歳以上でないと、なかなかうまく使えませんし定期的な調整が必要です。
歯の生えかわりについて[
乳歯に限らず、歯の生える時期は気になるものです。どうしても他のお子さんと比べてしまいます。最初の乳歯は下の前歯から生えることが多く、生え始めるのは平均すると男の子で生後8ヶ月、女の子で9ヶ月頃からです。歯が生える時期はかなり個人差があり6ヶ月ほどずれることはよくあることです。早い子で生後3〜4ヶ月のこともあれば1歳のお誕生を迎えてもまだ生えていないこともあります。歯が生える時期が遅いことは悪いことではありません。1歳半までに生えて来ない場合は歯科でレントゲンを撮影してもらってもいいですね。逆にあまりにも早く生えすぎた場合には授乳の時にお母さんの乳首を傷つけてしまったり、赤ちゃんの舌に潰瘍を作ることもあります。そういう場合には小児歯科で、とがった歯の先を丸めてもらったらいいでしょう。永久歯に生えかわるのも個人差がかなりあります。5歳くらいで下の前歯が永久歯に生えかわるお子さんもいれば、小学2年生になっても全て乳歯というお子さんもいます。全身的な病気がなく健康ならばそのうち生えてきます。歯が生えるのが遅いことは悪いことではありません。全ての歯が永久歯に生えかわる時期も個人差が強く、早いお子さんでは4年生で全ての乳歯が生えかわる場合もあれば中学生になっても乳歯が残っているお子さんもいます。ただし、そのような場合は歯科でレントゲンを撮影をして下さい。永久歯が足りない、永久歯の生える方向が悪いなど問題がある場合もあります。
歯の生えかわりについて\
乳歯は時期になれば自然と抜け、永久歯がすぐに生えてくると思っていませんか。今回は乳歯の奥歯(乳臼歯)についてです。奥歯の根は上が3本、下が2本あります。乳歯の奥歯と言えども根はしっかりとあごの骨の中で広がっています。永久歯が真下から真っ直ぐに上がってくる(萌出する)場合には奥歯の根も自然と溶けてしまいグラグラして抜けてしまいます。しかし、あごの骨の中で育っている永久歯の生えようとする方向が悪い場合には、乳歯の根が長く残ることが多く自然には抜けません。その場合には抜いてあげる必要があります。
左上の写真は上下の乳歯の奥歯を抜いたものです。永久歯の生える方向が悪く、1本の根がこんなに長く残っていました。これではグラグラするはずがありません。抜かずにそのままにしておくと下の永久歯の萌出方向が変わり、乳歯が抜けないまま生えてくることもあります。
右上の写真は上の奥歯です。矢印の所から永久歯が生えてきました。なかなか乳歯が抜けなかったために外側より生えてきました。速やかに乳歯を抜けば正常な位置へと戻ってきます。歯の生えかわりの時期をきちんと把握することは永久歯を正しい位置に誘導するためにも必要なことです。ご心配なら小児歯科医へご相談ください。
目 次 ホーム院長紹介、メールむし歯はどうやって治療する?幼児の歯みがきワンポイント染めだしをしてみようフッ素、シーラントについておやつを考えよう乳歯を抜く必要がある?過剰歯(かじょうし)はどうして抜く?ケガをしてしまった、どうしよう!タバコの害から子どもを守る乳歯の反対咬合(ムーシールドのご紹介)認定歯科衛生士ご存知ですか?ようこそ矯正歯科へ不正咬合の治療例矯正歯科の料金矯正治療、こんな時どうしようよくある質問コーナーはは歯クラブ便り ダウンロードのページ
目 次
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