歯の汚れを歯垢(しこう)といいます。歯の表面につくぬるぬるとした白い汚れです。この歯垢の中にむし歯菌がたくさん潜んでいて、むし歯や、歯肉炎、歯槽膿漏の原因となります。歯垢は飲食物を取る限りできるものですので、いかにこの歯垢を完全に落とせるかがむし歯予防にとって大切な要因のひとつです。歯垢は白い汚れですので歯の色と区別がつきにくく見落としがちです。みがいた気になっていませんか。そこで歯垢を赤く染め歯の色と区別がつきやすくする方法が染め出しです。染め出しをすることによって、お母様自身やお子さんの歯みがきの仕方の癖(くせ)がわかり、練習に役立つと思われます。ぜひ試してみて下さい。
染め出しには液状とジェルの物との2種類あります。 赤い色は食紅と同じ成分ですので飲み込んでも体に害はありません。液状のものは1回に約3ccを口に含み10回程、くちゅくちゅうがいをしてから吐き出します。手軽にご家庭で行える方法ですし、現在の物は歯ブラシも赤くなりにくくなっています。ジェルの染め出しは歯ブラシで歯に直接塗布します。歯ブラシにマッチの頭ほどのジェルを出し、歯のすみずみまで塗布します。その後2〜3回うがいをして余分な染め出し液を洗い流します。
小学校2年生8歳の子です。歯ぐきのはれもなくきれいに見えます。
ジェルの染め出しを歯ブラシで歯全体にまんべんなく塗ります。服などに付くと取れにくいですのでご注意下さい。
塗布後3回ほどうがいをさせた状態です。前歯や歯と歯ぐきの境目が赤く染まっています。右と比べて左の磨き方が悪いのがわかります。
下の奥歯(臼歯)です。溝のところや歯と歯ぐきの境目が赤く染まっています。
自分一人で磨けるようになるのはこの様に練習をしても小学校4〜5年生にならないとできません。ましてや1回染めだしをしただけで上手に磨けるものではありません。毎週、日を決めて練習することが上手に磨けるようになる早道です。大人の人でもきちんと磨けている人はたいへん少ないと思われます。この機会にお子さんとご一緒にお父さん、お母さんも試してみてはどうでしょう。
私の診療所では、古い歯垢を青く、新しい歯垢をピンクの2色に染め出すことができる染めだし剤、2TONE(ツートーン)を使用して歯みがき指導を行っています。日頃の歯みがきの癖がわかります。残念ながら個人用の小さい容量のものはありません。自宅で使用するには液体染めだし剤の「ハミガキ上手PRO」を勧めています。ドラックストア等にも「ハミガキ上手」が市販されていますが、実際に比較するとPROとは染まり具合が違う様です。
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